分子夾雑の生命化学

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新学術「分子夾雑化学」レクチャーツアー ( A01 計画班 : 浜地先生, A02 計画班 : 杉本先生 )

レクチャーツアー報告書

京都大学大学院工学研究科 教授 浜地 格

甲南大学先端生命工学研究所(FIBER) 所長・教授 杉本 直己

総括班・計画研究A01班の浜地格とA02班の杉本直己は、2018820-22日に、中国:西安で開催された第五回アジアケミカルバイオロジーコンファレンス(ACBC5)において、生細胞多成分夾雑系でのタンパク質ケミカルラベリングやプロテオミクスの新概念であるconditional proteomicsに関する基調講演(浜地)、分子クラウディング環境での核酸の非二重らせん構造と細胞内での新しい機能の発見に関する基調講演(杉本)を行った。この機会を活用して、分子夾雑の生命化学という本学術領域が日本の科研費プログラムの中で立ち上がったことの紹介を行った。

 ACBCは、2年に一度アジアで開催される化学生物学(ケミカルバイオロジー)に関する国際シンポジウムであり、韓国>日本>シンガポール>台湾と開催国が引き継がれ、今回初めて中国本土での開催となった。この国際会議では、生体内金属イオン、遺伝子・核酸からペプチド・タンパク質、脂質や糖鎖、細胞からin vivo系など多彩で多様なレベルの生体関連機能分子がトピックスとしてとりあげられ、その構造と機能から生体内での役割や生体応用まで幅広い議論が繰り広げられてきた。

特に今回は、中国の中堅から若手研究者にケミカルバイオロジーが大きく根付き、多くの最先端の成果が報告されていたのが印象的であった。中国、韓国、日本、シンガポール、台湾、香港などから200名以上の参加者を集めて、非常に盛会で、活発な議論が繰り広げられた。この国際会議でアジア各国のケミカルバイオロジー研究の中心的な人物と、分子夾雑の生命化学分野の国際交流を進めるための意見交換を行った。

 ACBC5 における講演の様子