分子夾雑の生命化学

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新学術「分子夾雑化学」レクチャーツアー ( A02 計画班 : 三好先生 )

レクチャーツアー報告書

甲南大学フロンティアサイエンス学部(FIRST) 教授 三好 大輔

計画研究A02班の杉本直己(甲南大学FIBER)の分担研究者である三好は、2020年5月~8月にかけて行われた「NUCLEIC ACID SECONDARY STRUCTURES G4s AND BEYOND Webinar Series  2020」に参加し講演しました。

このWebinarは、コロナ禍でほとんどの学会や人的交流が延期・中止される中で、最新の研究内容の共有や国際交流を継続するために企画されたものです。毎回2人ずつ合計20名の講演が行われ、三好は7月16日に「Liquid-liquid phase separation (LLPS) of G-quadruplexes」という演題で発表し、200名超の参加者が得られました。シリーズを通して日本からの発表は1人のみでしたが、当面の間、直接の対面が困難そうな欧米各国の研究者と活発な議論を行うことができ、Webinarを通じた国際交流の可能性を感じるものでした。

 

講演を通して、細胞内の分子環境に応答する核酸構造が、細胞研究で注目の相分離に及ぼす影響に関して多くの研究者に興味をもっていただきました。核酸の四重らせん構造は、分子クラウディング、カチオンの種類や濃度、pHなどの細胞内環境因子に鋭敏に応答することから、他の講演者の発表においても、これらの細胞内環境因子を実験系に取り入れていることが多く見られ、分子夾雑の重要性の理解が浸透しつつあると感じました。

講演後のチャット機能や、その後の継続的な議論により、分子夾雑に関する国際共同研究を開始することになりました。今後も積極的に情報発信を行い、海外へ出向くことが出来ない状況下でも、子夾雑の生命化学の重要性を広めていきたいと考えています。