分子夾雑の生命化学

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日本蛋白質科学会年会・第71 回細胞生物学会大会 合同年次大会 シンポジウム報告

第19回日本蛋白質科学会年会・第71回細胞生物学会大会
合同年次大会 
シンポジウム報告

九州大学薬学研究院 王子田 彰夫

 令和元年625日、第19回日本蛋白質科学会年会・第71回細胞生物学会大会 合同年次大会(神戸市、神戸国際会議場)において、当領域が共催となるシンポジウム「分子夾雑環境での蛋白質科学の新展開」が浜地領域代表および王子田(A01計画班)をオーガナイザーとして開催されました。

本シンポジウムは、昨年の第18回日本蛋白質科学会年会で開催されたワークショップに引き続いて2回目の共催活動となります。昨年度は計画班の先生5名による講演でしたが、今年は公募班の先生を中心とした6名の先生による研究紹介となりました。

本シンポジウムで、まずはじめにA02公募班明石先生からのネイティブ質量分析法についての講演の後、A03公募班の内山先生より蛍光超遠心分析による蛋白質相互作用解析についてご講演が行われました。その後に浜地先生より、ケミカルプロテオミクスの新手法を用いた細胞蛋白質解析、A01公募班の小松先生より、細胞代謝の新しい蛍光解析法の開発と応用、A01公募班の築地先生より蛋白質局在を操るSLIPT法についての紹介がありました。

最後に王子田より、コバレントドラッグの創薬応用研究について紹介を行いました。以上のように本シンポジウムでは、分子夾雑環境下での蛋白質の機能解析や制御のための最先端の分析法やケミカルツールについて紹介を行い、それらの有用性や今後の応用性・進歩性について提案を行いました。

また、シンポジウム会場には2時間半に渡って多くの聴衆が集まり、質疑応答の時間には活発な議論が行われました。本シンポジウムにおいて、蛋白質科学や分子生物学研究を専門とする研究者に対して、分子夾雑化学の先端研究を紹介できたことは、本領域の活動を理解してもらう大変よい機会であったと言えます。

シンポジウム「分子夾雑環境での蛋白質科学の新展開」 プログラム

 8:45 – 9:10 「夾雑環境下でのネイティブ質量分析法の構築」

              明石 知子(横浜市大・生命医科)

 9:10 – 9:35「蛍光超遠心分析による血清添加培地中でのWnt3a蛋白質の相互作用解析」 

              内山 進 (阪大・工・生命先端)

 9:35 – 10:00「細胞環境に依存したProteome解析の新手法」

              浜地 格(京大・院工)

10:00 – 10:25「物質代謝の局在性の制御と理解を目指すケミカルバイオロジー研究」 

              小松 徹(東大・院薬)

10:25 – 10:50「細胞夾雑空間での蛋白質局在を操るケミカルツール」 

              築地 真也 (名工大・院工)

10:50 – 11:15「夾雑系における蛋白質不可逆阻害の化学」

              王子田 彰夫(九大・院薬)