分子夾雑の生命化学

分子夾雑の生命化学

menu

新学術領域「分子夾雑」・「生命金属」・「シンギュラリティ」合同シンポジウム開催報告

新学術領域「分子夾雑」・「生命金属」・「シンギュラリティ」合同シンポジウム開催報告

東京大学大学院工学系研究科 田端 和仁

 20211122日、23日にハイブリッド形式にて新学術領域「分子夾雑」・「生命金属」・「シンギュラリティ」の3領域合同シンポジウムを開催しました(熱海市、ニューフジヤホテル)。「分子夾雑」からは田端、「生命金属」からは慶応大の古川先生、「シンギュラリティ」からは理研の渡邊先生がオーガナイザーとして参加し、なんとか対面開催が出来ないか模索して参りましたが、COVID-19の収束状況が読めなかったため、発表者のみオンサイトで実施するハイブリッド開催となりました。オンサイトで18名、オンラインで100名以上ご参加いただき、通常の学会シンポジウムより多くの皆様にご参加いただけたと思います。

発表に関しては、各領域から5名ずつの発表をおこないました。今回は、異なる領域の皆様もおられたため、一人あたりの発表時間を少し長めにとり、研究の背景などもわかりやすく説明していただきました。分子夾雑領域は浜地先生の領域紹介と研究のご発表に引き続き、東大の小松先生に酵素活性の網羅的解析に関するご発表のあと、群馬大学の神谷先生による人工細胞膜の機能化に関するご研究発表、茨城大の倉持先生によるX線ブリンキング法による新規細胞夾雑環境観察系に関するご発表、東京大学の田端による細胞内夾雑環境の計測・操作系に関する発表をおこないました。

分子夾雑の領域のみならず、他の領域の研究者からも多く質問をいただき大変盛り上がる会議となりました。他の領域の先生の発表も大変興味深く、対面開催によるアクティブな議論も見られ、直接お会いして研究の議論をおこなうことの重要性を再確認いたしました。このように、今回は3つの新学術領域の相互交流を目的としておこなったシンポジウムですが、当初の目的は十分に達成されたと感じており、ここから新しい共同研究の芽が生まれることを願っています。

 

3新学術領域合同シンポジウム プログラム

11月22

13:00〜「分子夾雑の生命化学が目指すもの」

              浜地 格(京大)

13:40〜「酵素活性の網羅的解析(enzymomics)による疾患関連タンパク質の探索」 

              小松 徹 (東大)

14:10〜「分子夾雑下検出に向けた人工細胞膜の機能化」

              神谷 厚輝(群馬大)

14:40〜「X線ブリンキング法による生物個体内の結晶化タンパク質および分子夾雑場観察」 

              倉持 昌弘 (茨城大)

15:10〜「細胞内夾雑環境の再構成」 

              田端 和仁 (東大)

15:50〜「生命金属科学:生命の金属元素戦略の解明と応用」

              津本 浩平(東大)

16:30〜「生命金属動態の維持:植物のホウ酸トランスセプター」 

              高野 順平 (大阪府立大)

17:00〜「生命金属動態の破綻:金属タンパク質のミスフォールディングと神経変性疾患」

              古川 良明(慶応大)

17:30〜「生命金属動態の攪乱:亜鉛とマンガンのクロストーク」 

              神戸 大朋 (京都大)

18:00〜「生命金属の測定解析:有機及び無機質量分析法を用いたセレノメタボロームの解析」 

              小椋 康光 (千葉大)

11月23

9:00〜「トランススケールスコープAMATERASが拓くシンギュラリティ生物学」

              永井 健治(阪大)

9:40〜「10万細胞の信号伝達を駆動する希少なシンギュラリティ細胞」 

              堀川 一樹 (徳島大)

10:10〜「認知症超早期病態の鍵を握るタウ蛋白質シンギュラリティ現象」

              佐原 成彦(量子研)

10:50〜「細胞の動きからリーダー・フォロワー細胞ならびに細胞間相互作用の空間スケールを同定する」 

              小松崎 民樹 (北大)

11:20〜「シンギュラリティ生物学を実現する大量データの解析・保存・標準化」 

              大浪 修一 (理研)